PizzaExpress

金曜日の夜。

 

テキストのやり取りをしているうちに、金曜日の夜にディナーに行く事になった。彼の仕事が終わる時間に合わせて、彼の職場の近くで待ち合わせをした。

 

夕食をどうしようか二人で話す道すがら、ジンの看板を出してるパブを見つけた。彼が「入ってみない?」と誘うので少しだけ飲むことにした。二人で、バーテンダーにオススメを聞きながら、私はオレンジピールの入ったジン、彼はライムとキューカンバーが入ったジンを選んだ。二階へ上がると広く吹き抜けのようになっていて、座り心地の良いソファーがあり、天井からは植物が伸びる空間が広がっていた。

 

ジンを飲みながら話していると、彼の携帯電話が鳴った。女の人のアイコンが出たのを見て、彼は不通にした。私はもう彼のガールフレンドではないし、彼はもう私のボーイフレンドではない事は、お互いすでに分かっていた。それに、付き合っていた時も私は彼が女友達と仲良くする事で詮索したり、嫉妬心をあらわにすることはなかった。むしろ、彼の方が私の男友達についてあれこれ聞く事が多かった。なので、彼が女友達と電話で話しても問題はなかったはずだった。

あまりにあからさまな行動に「私、席外すから電話折り返したら?」と聞いたら「タイの友達からタイのお正月の挨拶だから大丈夫。」と返事が帰ってきた。だったら何で電話に出なかったのだろうと余計に不審に思いながら、「私がその子だったら、悲しいよ。電話切られて。」「ガールフレンドがいるんだったら私、帰るから大丈夫だよ。」と返したら「電話の子に嫉妬してるの?」「僕は今、君と一緒にいて、この子は5900マイル先にいるんだよ。」「タイにガールフレンドはいないよ。」と言われた。私が「そう、その子に嫉妬してるんだよ。」と言うと、彼は私の気持ちとは裏腹に少し嬉しそうにしていた。先日行ったアイルランドで書いた、お土産も兼ねたポストカードを当てつけのように彼に渡すと、彼はそのカードに書いてある私のメッセージを読みながら、更に笑顔になった。

あからさまに不機嫌にしている私に向かって、彼は店内に置いてあったドミノを手にとって「ドミノのルール知ってる?」と聞いた。私が「知らない」と答えると、「僕が教えるからやってみない?」と言う。私はムスッとした表情のまま、何度かゲームをしたものの、彼もルールはところどころ忘れていてゲームらしいゲームにはならなかった。

 

彼がお腹が空いたと言うので、近くのPizzaExpressに行った。

私の機嫌はまだ直っていなかったので、笑顔の彼とは対象的な表情をしていたと思う。彼は入り口で店員さんにオススメを聞き、何を食べるかすぐに決めた。ウエイターさんがオーダーを聞きに来たので、彼が私に「ダーリン(イギリスで大切な人や恋人に対して男女問わず使う言葉)は何を食べたい?」と聞くので「私はあなたのダーリンじゃないよ。」と皮肉っぽく笑顔で返すと、ウエイターさんに「彼女、僕のダーリンじゃないんだって。」と残念そうにしながらも笑顔で伝えていた。

 

オーダーは彼が選んだ海鮮のピザを二人でシェアして調度いいボリュームだった。私は機嫌が良くなかったので、ワインを飲んだことは覚えているけれど銘柄も赤か白かさえも思い出せない。多分、白のピノグリージョか何かだったと思う。その後入ったワインバーで、写真の話をしたことは覚えている。

 

www.greeneking-pubs.co.uk

www.pizzaexpress.com

 

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