Lantana Cafe

日曜日。

朝、ネットラーニングをしてスマートフォンを確認すると、友人から映像の撮影を手伝って欲しいと前日の日付でメッセージが届いていた。

さっきまで寝ていたはずの彼は、ベットでスマートフォンを見ている。

私は少し考えて、「ごめんね。今日は行けない。」と友人に返事を返した。

 

起きてリビングに来た彼が「朝食食べに行かない?」とたずねた。私は、「お腹空いた。」と答えてから出かける準備をした。

朝食というより、ブランチの時間だった。

 

滞在先のフラットから少し歩いて路地を入ったところに、賑わっている小さなカフェがあった。入り口にいたウェイターさんに席を確認すると空きがあったので、そのカフェに決めた。

地下の席に通されてメニューを受け取ると、彼が「何飲む?」と私に聞いた。彼がワインとブレックファーストのセットメニューを見つけ、ウエイターさんに聞いてプロセッコとワンプレートディッシュのセットがある事を知り、それを頼む事にした。

 

私はきのこのグリルとサラダのプレート、彼は半熟卵がのった厚いトーストのプレートだったと思う。プロセッコは最初は二人共、ウェイターさんオススメのオレンジジュース割りを飲んだが、2杯目はストレート、3杯目は彼はストレート、私はオレンジ割りを飲んだ。セットは飲み放題だったと思う。私たちはボトル2本をあっという間に空けてしまった。セットのプレートは重すぎず、私には少し多かったが彼には調度良い量だったようだ。優しい味付けでブランチには最適だった。

 

ひと通り食べ終わって、相変わらずプロセッコを飲みながらはなしていると、宇宙の話になった。「火星に住んでみたい?」と彼に質問された。私は「住んでみたい。」と答えた。すると彼は「火星はつまんないよ。」「何にもない。」と言う。「行った事あるの?」と聞く私に、彼は「うん。」と答える。彼は宇宙飛行士でも火星旅行ができる程の億万長者ではないから、嘘だとわかっていた。

後から聞けば、彼は火星に関するドキュメンタリーのプロジェクトに参加していた事があるそうだ。

彼は言った「地球の方が楽しいよ。」

 

その後、昼間から見事に酔っ払った私たちは、長い長い昼寝をした。

 

Lantana Cafe

https://lantanacafe.co.uk/lantana-cafe-fitzrovia/

 

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Zizzi

 

土曜日。

新しい借り住まいは待ち合わせ場所のオクスフォード サーカスからすぐの所だと彼が教えてくれた。

夏のロンドンは夜7時でもまだ昼間の様に明るい。

 

最寄り駅のオクスフォード サーカスに着いた事をテキストすると、彼から“H&M“と返事が来た。

私は改札を抜けるとH&Mに向かった。近い出口を探すのに少し迷ってH&Mに着くと、彼は私が想像していた場所にいた。彼は私に会うなり言った。“When we meet at Oxford Circus. It means here, does it?” (僕たちがオクスフォード サーカスで待ち合わせする時の場所と言ったらここでしょ!)と。

 

私達がオクスフォード サーカスで待ち合わせたのはこれで2回目だった。1回目は私が1ヶ月ほどホリデーで日本に帰っていて、ロンドンに戻った時で、彼もドバイとタイでホリデーを過ごした後、仕事先のドイツから戻ったばかりの時だった。一年程前になる。その時の待ち合わせ場所が、このH&Mの前だった。当時、久しぶりに会えたのが二人とも嬉しくて、彼は立ち寄ったカフェで、まだ時差ボケでボーッとしている私の写真を真剣に撮っていた。私は、いつも結んでいる髪をおろしているのが珍しいのかな、などと考えながら彼の様子を眺めていた。そんなこともあり、私達は前回の事を良く覚えていた。

 

2回目の待ち合わせ場所となったH&Mの前で私達は、「お腹空いてる?」と聞きあって、彼も私もあまりお腹が空いていない事を確認すると、オクスフォード ストリートをブラブラと歩き始めた。目的地はないので、ただショーウィンドウを眺めたりして、話をしながら歩いた。

 

しばらくすると、彼から「夕食はイタリアンにする?」と提案されたので、私達は彼が以前行ったという、少し先にあるカジュアルなイタリアンレストランに行く事にした。

 

レストランは週末にしてはあまり混んでおらず、私達はワインを一杯ずつ頼むと、メニューを眺めながら何を食べるか話し合った。彼はチキンのグリルにサラダが付いたもの。私はリゾットに決めた。注文する時にメニューのイタリア語発音が分からなくてウエイターさんに聞いたものの、ウエイターさんも英語の発音しか分からず、結局、名前が分からないまま注文して二人で苦笑いしていた。

 

彼が注文したグリルも私のリゾットも程よい味付けで美味しかった。二人で少しシェアして食べたけれど、私はリゾットが多過ぎて残してしまった。リゾットを残さずに食べるのは、私にはいつも難しい。

 

聞けば彼は昼食もイタリアンだったらしく、その時はピザを食べたそうだ。ピザ以外もあるからここを選んだそうだ。ちょっと不思議な理由。イタリアン以外にもレストランはたくさんあるのに。イタリアン好きだけど。

 

www.zizzi.co.uk

 

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itsuと PAUL

木曜日、彼の職場近くで待ち合わせ。今の滞在先が素敵な場所にあるので、週末に引っ越す前に私に見せたいと言って連絡をくれた。早めに着いた私は、少し緊張しながら彼を待った。彼がタイから帰って来てから、毎週会っているのに、まだ彼が私の横にいることが信じられない。彼と歩いている私は、きっと地上から3センチ位浮いている。

 

夕食はパブで食事をしようとしたものの、量が多すぎるので何か買って公園で食べようかと言う話になった。itsuで小さなお寿司とお弁当、飲み物を買って彼がお昼休みに行ったと言う公園に向かった。公園の門が閉まって入れなかったので、少し歩いて川沿いのベンチで食べることにした。私はご飯にチキンと枝豆がのった小さなお弁当。彼はサーモンの握り寿司とロールのお弁当。二人で少しずつ交換し合いながら食べた。

 

私の話を楽しそうに聞いて、彼の仕事の話をして、ロンドンのビルの話をして、ちょうど夕焼けの日が差してきた時に彼が日本語で「あなたは美しい」と言った。私は少し戸惑って、「ありがとう」と伝えた。私の目にちょうど夕日が差して黄金に輝いてきれいだと教えてくれた。私がベンチにもたれようとすると、”This angle!”(この角度!)と言って、私の目と夕日の位置を調整していたので笑ってしまった。その後、二人でトイレを探しながらロンドンブリッジまで歩いた。カフェでトイレを借りるために、彼がケーキを買った。カフェから出た後、テイクアウェイしたイチゴのショートケーキはロンドンブリッジを見ながら二人で半分こにして食べた。

 

デザートも食べて満足した私達は、彼の滞在先まで歩いた。心地良い気温で晴れていたので、通り過ぎたパブのどれもが人で溢れかえっていた。滞在先の周辺は、いくつかの船のドックがあり、川沿いからも近くてとてもきれいな所だった。私達は途中のスーパーマーケットで飲み物を買って、川沿いの小さな公園に腰を下ろした。芝生に寝転がって話していると、彼は韓国での仕事に興味があることを教えてくれた。私は、彼と一緒にいれないことは寂しいが、私自身の経験から、挑戦を後押ししたい気持ちの方がいつも大きいので、後悔しないようにやりたいことをやってほしいと伝えた。彼は少し考えた後、行った事がない国だからもう少し考えないとねと言った。

夕焼けから夕闇に変わる時間帯で、川の向こう側に建つロンドンのビルがとてもきれいだった。

 

www.itsu.com

 

www.paul-uk.com

 

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イングリッシュ ブレックファースト

土曜日の朝。前日の不機嫌さがまだ居座っていて、彼とも上手く話せなくて、お腹もすごく空いたので帰ろうとしたものの、彼の乗る電車までまだ時間があるから遅い朝食に行こうと言われ、何より彼と話したかったので、お腹が空いたまま出かける準備だけした。ちなみにこの時、彼の部屋に泊まってはいるものの、彼がロンドンに戻ってから色々あって、私達はキスもしていなかった。

 

彼の自宅は他の人に貸しているため、タイから戻ってからの彼はロンドンのセントラルとその周辺を転々としていた。大きな荷物を抱え滞在先のホテルを出た彼が移動するには、あまりに身動きが取りづらい状態だったため、駅近くの小さなカフェに入った。ローカルな雰囲気で、日本で言えば大衆食堂と言った感じだろうか。表記してあるメニューはどれも手頃な値段だった。

 

私も彼もそれぞれイングリッシュ ブレックファーストを頼んだ。私は目玉焼きとマッシュポテトが付いたもの。彼は目玉焼きとビーンズのものを選んだ。大きなお皿に目玉焼きとベーコン、マッシュドポテト(彼のものはビーンズ)、トーストがのっていた。ボリュームがあって二人とも食べきれないほどだった。私達はホテルを出る前に話していた映画の話を続けながら食事をした。私の取り出したノートにあれこれ説明をつけて書き込みながら、彼は映画の制作について教えてくれた。食後のコーヒーが来てからも、彼は熱心に話してくれた。

 

その後、大きな荷物を抱えた彼は、ロンドンからずっと先にある彼の両親の自宅へ向かい、私は2年ぶりに会う友人との待ち合わせ場所へと向かうためにバス停で ”Have a nice day!(良い一日を)”と言って別れた。

後から聞いた話では、彼は長距離の電車の乗り場を間違えてしまって焦ったそうだ。駅員さんに聞くと「今電車が出て、もう間に合わない」と告げられ、一瞬、肩を落としたらしい。でも、その後、その駅員さんは「冗談ですよ、サー(イギリスでの男性に対しての丁寧な呼び方)。今から行けば間に合います。実は私、面白い人になりたいので冗談を言ったんです。」と言ったそうだ。彼は「あなたは面白いかもしれないけど、僕は全然面白くないです。」と返したと言っていた。私はそれを聞いて、その時の駅員さんの対応は間違ってるかもしれないけど、イギリスらしい皮肉交じりの冗談だなと、妙に納得してしまった。

 

http://amore-breakfast-restaurant.business.site

PizzaExpress

金曜日の夜。

 

テキストのやり取りをしているうちに、金曜日の夜にディナーに行く事になった。彼の仕事が終わる時間に合わせて、彼の職場の近くで待ち合わせをした。

 

夕食をどうしようか二人で話す道すがら、ジンの看板を出してるパブを見つけた。彼が「入ってみない?」と誘うので少しだけ飲むことにした。二人で、バーテンダーにオススメを聞きながら、私はオレンジピールの入ったジン、彼はライムとキューカンバーが入ったジンを選んだ。二階へ上がると広く吹き抜けのようになっていて、座り心地の良いソファーがあり、天井からは植物が伸びる空間が広がっていた。

 

ジンを飲みながら話していると、彼の携帯電話が鳴った。女の人のアイコンが出たのを見て、彼は不通にした。私はもう彼のガールフレンドではないし、彼はもう私のボーイフレンドではない事は、お互いすでに分かっていた。それに、付き合っていた時も私は彼が女友達と仲良くする事で詮索したり、嫉妬心をあらわにすることはなかった。むしろ、彼の方が私の男友達についてあれこれ聞く事が多かった。なので、彼が女友達と電話で話しても問題はなかったはずだった。

あまりにあからさまな行動に「私、席外すから電話折り返したら?」と聞いたら「タイの友達からタイのお正月の挨拶だから大丈夫。」と返事が帰ってきた。だったら何で電話に出なかったのだろうと余計に不審に思いながら、「私がその子だったら、悲しいよ。電話切られて。」「ガールフレンドがいるんだったら私、帰るから大丈夫だよ。」と返したら「電話の子に嫉妬してるの?」「僕は今、君と一緒にいて、この子は5900マイル先にいるんだよ。」「タイにガールフレンドはいないよ。」と言われた。私が「そう、その子に嫉妬してるんだよ。」と言うと、彼は私の気持ちとは裏腹に少し嬉しそうにしていた。先日行ったアイルランドで書いた、お土産も兼ねたポストカードを当てつけのように彼に渡すと、彼はそのカードに書いてある私のメッセージを読みながら、更に笑顔になった。

あからさまに不機嫌にしている私に向かって、彼は店内に置いてあったドミノを手にとって「ドミノのルール知ってる?」と聞いた。私が「知らない」と答えると、「僕が教えるからやってみない?」と言う。私はムスッとした表情のまま、何度かゲームをしたものの、彼もルールはところどころ忘れていてゲームらしいゲームにはならなかった。

 

彼がお腹が空いたと言うので、近くのPizzaExpressに行った。

私の機嫌はまだ直っていなかったので、笑顔の彼とは対象的な表情をしていたと思う。彼は入り口で店員さんにオススメを聞き、何を食べるかすぐに決めた。ウエイターさんがオーダーを聞きに来たので、彼が私に「ダーリン(イギリスで大切な人や恋人に対して男女問わず使う言葉)は何を食べたい?」と聞くので「私はあなたのダーリンじゃないよ。」と皮肉っぽく笑顔で返すと、ウエイターさんに「彼女、僕のダーリンじゃないんだって。」と残念そうにしながらも笑顔で伝えていた。

 

オーダーは彼が選んだ海鮮のピザを二人でシェアして調度いいボリュームだった。私は機嫌が良くなかったので、ワインを飲んだことは覚えているけれど銘柄も赤か白かさえも思い出せない。多分、白のピノグリージョか何かだったと思う。その後入ったワインバーで、写真の話をしたことは覚えている。

 

www.greeneking-pubs.co.uk

www.pizzaexpress.com

 

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週末に彼と食べたもの

彼との時間があまりに楽しいのでブログに残すことにした。内容は主に週末の食事のことになる予定。まずは少し前の週末、久しぶりに会った時のこと。

 

土曜日の夕方。

彼と会うのは5ヶ月ぶりだ。彼がタイにいる間、メールでやり取りはしていたが頻繁ではなかったし、ロンドンに戻ったとしても一週間もすればまた別の国に行くだろうと考えていた。それでも、彼がタイから帰ってくる事を知り、「会わない?」とテキストをもらえば、ドキドキとワクワクが入り混じった不思議な高揚感があった。
私の仕事が終わった夕方、エレファント アンド キャッスルの駅で待ち合わせをした。久しぶりに会う彼は少しだけふっくらして見えた。元々、細身で筋肉質な体型なので、知らない人と会っているような気分に少しだけなった。自然体でいようとしても、何だかぎこちない。
彼のオススメのバーのオープンまで少し時間があったので、偶然見つけたフードマーケットに立ち寄った。二人でビールを飲みながら、私の近況報告をしたり彼の仕事の話を聞いたりした。彼の次の仕事先がロンドンだと聞いて、内心、嬉しかったし、他に考えている仕事先がヨーロッパの国々だと知り、安心している私がいた。
一杯だけ飲んだ後、二人でゆっくりと目的地のバーまで歩いた。Bermondsey Arts Club。 通り過ぎてしまいそうなくらい素っ気ない入り口を抜けて階段を下りると、映画のワンシーンのようなバーカウンターとバーテンダーが現れた。完璧だった。一杯ずつカクテルをオーダーした。彼はブラッドオレンジの様な色のカクテル、私はエッグノッグの様なホイップしたミルクが浮かんだカクテル。すでにビールを飲んでいた事もあって、緊張は少し和らいでいた。映画の話をしながらゆっくりと飲んだ。バーを出て、彼が少しお腹が空いたと言ったので、ちょうど来る前に友達からもらった桜餅を二人で半分にして食べた。ロンドンも春の足音がし始めた頃で、春らしい味と懐かしい味とで不思議な心地がした。
その後、やっぱり緊張していて二人とも何だかぎこちなくて、少し喧嘩をしてしまった。落ち着いてから、最初に行ったフードマーケットでビールを呑み直して仲直りした。

bermondseyartsclub.co.uk